鈴木畳店の日常を紹介するブログです。

2009年3月6日


ここ、新潟県の畳屋さんで、棺に畳を敷く”おくり畳”を作っている方がおります。

その人は、M市にある畳店で、Nさんです。

正式名称は、儀典畳。

きっかけは、18年前になくなられた、母親の葬儀をきっかけに、人一倍畳に愛着を持っていたお母さんが、最後は、畳の上ではなくて、病院のベッドの上だったことでした。

葬儀で見た、棺の中に緩衝材として糸状の木くず“木毛”が敷き詰められていたことも、Nさんの気持ちを動揺させたそうです。

それで、最後の時に寄り添える畳を作ろうと考えたそうです。

今まで、全国でおよそ、3万人の棺に使われたそうです。

これを読んだ時、こんな方が、同じ新潟県にいらっしゃったのかとびっくりしました。

ちょうど、先日、「おくりびと」がアカデミー賞を受賞したという、タイミングで載ったのでしょうが、Nさんは、それよりも遥か前から、つくってらっしゃった。

この思いのすごさを感じ取らないわけには、行きませんでした。

最後の棺に送るとき、硬い板?ではなく、暖かい畳の上に載せて、送る。素敵なことです。

映画の中のおくりびともすごかったのですが、この畳で送るというしぐさは何ともいいようがありません。

ちょっと見た目では、見えないところですが、見えないところに心を配るという行為は、すべてのことに当てはまるように思えました。

いい心をもらいました。